サクラソウの生育適地は、落葉樹林のなかでも春には確実に明るい場所のようです。
すでに述べたことですが、北海道のカシワの木は、春に葉を開くのが他の落葉樹に比べて目立って遅いのです。
春、葉を開いた途端に急に冷たい風が吹いて、せっかく開いた新しい葉が凍ってしまうというようなことを避けるため、遅霜の心配のない春たけなわの頃に葉を開く性質が進化したのでしょう。
そんなカシワの林は、主な活動時期を春にもつ小さな野草にとって、特に都合のよい生育場所です。
植物の活動に適した時期になっても上の木の葉が開かないので、明るく暖かい日だまりで十分に光合成をすることができるからです。
また、明るいうちに花を咲かせることは、昆虫に花粉を運んでもらうにも都合がいいでしょう。
サクラソウは、主な成長の時期や開花の時期が春なので春植物といってもよいですが、春が過ぎても積極的に葉を枯らし、葉の物質を地下部に回収するというようなことはありません。
適度に明るく湿った場所ならば夏まで、さらに秋まで葉をつけていることもあります。