2010年11月アーカイブ

ヒトは、時間の長さをふつう、1日の長さ、1年の長さ、ヒトの1生の長さで測るので、それより長い時間を感覚でとらえることが難しいでしょう。


ですから、クローン成長だけで1つの系統が何百年、あるいは何千年もの問維持されていることがわかれば、十分に成功しているように感じてしまいます。


しかし、地球の歴史や生命の歴史を眺めるのにふさわしい時間スケール・・・


つまり何十万年、何百万年といった時間スケールで眺めてみると、そのような系統はいずれも著しく短命であることがわかります。


・・・というのは、減数分裂を省略して無性的なクローン成長で維持されている系統(種、変種など)には、必ず近縁の有性生殖の系統が認められます。


そして、それが比較的最近にその有性生殖の系統から分かれたことを示すことができるからです。


サクラソウも、クローンの寿命がかなり長いです。


しかし、その個体、群の長期的な維持や遺伝的な変異性の確保のためには、やはり有性生殖が健全に行われなくてはなりません。


それは、花が咲いて実を結び、種子が生産されることによってはじめて可能になります。


個体の寿命はどれほど長くても必ず限りがあります。


種子による繁殖がうまくいかなければ、その系統はいずれ絶えてしまうのです。

クローン成長によって無性的に生き続ける一般に、クローン成長のことを栄養繁殖とよぶこともあります。


性を介した生殖をしなくても、植物はしばしの間、同じ遺伝子コピーをもちながら、生理的には独立した株を増やし続けることができるからです。


例えば、淡い紫色の花を咲かせ、庭にも植えられるシャガは3倍体の植物なので、ふつうは種子による繁殖はしません。


そのかわりクローン成長はきわめて旺盛です。


庭に1株だけ植えておいたものが、少し油断をしているうちに庭いっぱいに広がってしまったということにもなりかねないのです。


日本では、低地から富士山の高山砂漠まで、どこでもごくふつうにみられるおなじみのイタドリが、最近英国に帰化しました。


河原などにはびこって、大いに厄介ものとされているようです。


イタドリは、雌と雄が別の個体に分かれている雌雄異株の植物ですが、英国には雌株だけが入っています。


ですから、種子はできません。


そのかわりに、成長したクローンの地下茎がちぎれて、その断片が新しい株をつくることによって分布を広げています。


そして、今では英国における最も侵入性の高い植物の1つとみなされ、法律でその駆除が義務づけられるまでになっています。


これらクローン成長だけで分布を広げる植物は、種子をつくることに物質やエネルギーを使わなくていいでしょう。


ですから、きわめて旺盛にクローン成長を行うのです。


一見非常に効率的で、いいことづくめに感じられるこれらの種子繁殖をしない植物ですが、これらは果たして真の成功者といえるのでしょうか?


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