トルード(労働)紙も「今、手ごろな値段の背広を見つけるのは困難だ」と指摘。
81年に70ルーブル(公式為替レート換算で約1万5千円)以下の背広の製造は全体の6%でしたが、87年には2%になったと述べています。
値上がりの理由は企業が独立採算制を取り入れ、自主権限幅が広がったのと無縁ではなさそうです。
デザインの一部を変えただけの新製品を売り出し、それに従来品の30%も高い値段を付けたり、安い製品の生産を抑え高い製品の生産を増やすといった動きが出ているためです。
競争のない条件のもとで物不足から安易に売り上げ、利益増をめざす企業行動が成立しやすくなっているといえるでしょう。
ペレストロイカの効果がなかなか上がらない大きな理由の一つは、価格体系改革に着手できないためです。
ソ連では食料品を中心に年間730億ルーブル(約17兆円)もの補助金がつぎ込まれ、小売価格が生産コストを大幅に下回っています。
また、価格体系が西側諸国とかなり異なり、開放経済を進める上でも改革は不可欠になっています。
しかし、ソ連経済は慢性的な物不足で卸売市場も存在しません。
企業の自主権限拡大、一部市場システムを導入してもまだその環境が整っていません。