さて、花のなかでの柱頭や繭の位置・・・


それらと蜜腺の間の位置関係などは、昆虫が吸蜜するときにその体のどこに菊や柱頭が接触するかを決めることになります。


・・・つまり、葯から昆虫の体へ、また昆虫の体から柱頭へと花粉が移動する可能性や効率に影響を与えるのです。


したがって、花 種のなかでの蔚と柱頭の位置には、強い選択圧がかかることが考えられるのです。


サクラソウはクローンによって蒋や柱頭の高さにかなりの変異があります。


集団全体についてみると、長花柱花の柱頭の高さと短花柱花の繭の高さ。


そして、長花柱花の柱頭の高さと短花柱花の蒋の高さは、いずれもその平均値がピッタリと一致しています。


・・・つまり、1つの花のなかでは大きくずれている柱頭と蔚の高さが、集団全体では長花柱花と短花柱花の間で交互に一致しているのです。

ダーウィンは、プリムラを主な材料として異型花柱性を研究し、異型花柱性についての本も著しています。


ダーウィンは、異型花柱性をもつ花の葯と柱頭の高さに着目しました。


同じタイプの花では葯と柱頭の高さがずれています。


しかし、異なるタイプの間では、葯と柱頭の高さは一致しています。


つまり、タイプが異なる花どうしが組みあわさることがあるとしたら、曹柱頭の位置はちょうど合致することになります。


そこでダーウィンはこのことを、花粉の授受によって受精が起こり種子をつくることのできる潜在的な配偶相手の間で、花粉のやりとりを効率よく起こすための花の工夫であると解釈しました。


花は動けませんから、花粉の授受はポリネータを介して行われます。


お互いに受精能力のある花どうしでの花粉の移動を容易にするためには、まず、それぞれの花型の葯がポリネータの体の異なる部位に付着。


ポリネータが次に訪れる異なるタイプの花の柱頭にそれがうまく授粉されるというようなことがなければなりません。


・・・では、そのような花粉のつき分けは、実際に起こるのでしょうか?


できることなら何でも実験で確かめるという実証精神の旺盛なダーウィンは、それを確かめるために、死んだハチの舌や針などをプリムラ・ベリスの花のなかに差し込んでみました。


そして、そのようなつき分けが起こることを確認したのです。

今までにサクラソウでみつかっている等花柱花は、柱頭も繭も低い位置にあるものです。


瞳が奥に引っ込んだ、くぼんだ目をもつ花といえばよいでしょうか?


このタイプのものは、繁殖のうえでも特異な性質をもっています。


自分の花粉を受粉して自殖で種子をつくる性質、つまり自殖能が大きいのです。


植物が他殖を行うためには、配偶者以外にどうしてもポリネータが必要です。


ポリネータの助けを借りなければ、他の個体との花粉のやりとりができません。


ところが、ポリネータとなる動物が花を訪れるのは、もっぱら餌を採るためです。


ポリネータが餌集めに必死になっている間に花粉を体のちょうどよい位置に付着させたり、それが首尾よく他の花の柱頭に落ちるように仕組むのは花のほうです。


そのような花の工夫があれば、動物たちは全く意図せずにポリネータとして働いてしまうのです。


植物界においてどちらかといえばめずらしい異型花柱性が、一体どのような意味をもつのか。


また、何に役に立っているのかについて、はじめてはっきりした形で見解を述べたのは、チャールズ・ダーウィンです。


長花柱花と短花柱花では、花筒の内側に並ぶ繭と、子房から直立した花柱の先端の虫ピンの頭のような柱頭の位置が、大きくずれていることに気づくはずです。


花筒の開口部に柱頭がみえていた長花柱花では、菊は低い位置についています。


逆に、開口部に繭がみえていた短花柱花では、柱頭が低い位置にあります。


これら2つのタイプは、生物一般の雌と雄の違いにやや似ています。


・・・というのは、基本的にはタイプの異なる花の問で受粉したときのみ、花粉が正常に発芽して受精がおこるからです。


まるで、雄花と雌花のように、お互いに異なる性をもっているかのようにもみえます。河成鎮実子さんによると、長花柱花をつけるか短花柱花をつけるかは、クローン、つまり個体の遺伝的な性質として決められているので、同じクローンに長花柱花と短花柱花の両方が咲くことはありません。


実はサクラソウには、ごくまれに、柱頭と菊の高さの等しい等花柱花が認められることがあります。


いわば、第3の花、です。

サクラソウに限らず、ほとんどのプリムラ属の仲間が2つの形の瞳をもっています。


ぜひ、身近に咲いているプリムラの目をのぞいて確かめていただきたいのです。


私は、フラワーショップの店先でも公園の花壇でも、プリムラをみかけると、必ず瞳のタイプを確認してしまうという困った習癖を身につけてしまいました。


そのようなとき、2タイプそろっているのがわかれば気分がよいです。


しかし、どちらか一方だけだと何だか落ち着かないものです。


2タイプの瞳があるのは、サクラソウおよび大部分のプリムラが、「異型花柱性」というめずらしい繁殖のしくみをもっていることによるのです。


それぞれのクローンが、どちらのタイプの瞳をもつかは遺伝的に決められています。


ピンの目をもつ花を長花柱花、スラムの目をもつ花を短花柱花とよんでいます。


種子をつくるのに鍵を握る器官は花です。


サクラソウの花の「秘密」を証す前に、植物にとっての花とは何か、またもう少し広く、花の存在意義について考えてみましょう。


さて、サクラソウの花は「目」をもっています。


花筒の中央部を取り囲むように白く縁どられた目が、周囲をみすえています。


花をみたら、その目をじっとみつめてみましょう。


クローンごとに異なる、濃い赤紫色の花の目、薄いピンクの細い花びらの花の目・・・


というように、いろいろなクローンの目をみているうちに、目のなかにみえる黄色い瞳には、形の違う2タイプがあることに気づくでしょう。


英語ではその形から、瞳がまん丸で、虫ピンの頭のような形をしているものをピンの目。


光彩がはっきりとみえるものはスラム(織物の織り端)の目とよびます。


瞳の違いを植物学の言葉で説明すると、ピンの目は、花筒口に丸い柱頭(めしべの頭、ここで受粉します)がのぞいてみえる目。


スラムの目は、5葉の繭(おしべの先の袋、ここに花粉ができます)の先端がのぞいてみえる目ということになります。


いろいろなクローンの瞳を調べてみると、ピンの目をもつものとスラムの目をもつものが、大体1対1の比率になっていることがわかるでしょう。

ヒトは、時間の長さをふつう、1日の長さ、1年の長さ、ヒトの1生の長さで測るので、それより長い時間を感覚でとらえることが難しいでしょう。


ですから、クローン成長だけで1つの系統が何百年、あるいは何千年もの問維持されていることがわかれば、十分に成功しているように感じてしまいます。


しかし、地球の歴史や生命の歴史を眺めるのにふさわしい時間スケール・・・


つまり何十万年、何百万年といった時間スケールで眺めてみると、そのような系統はいずれも著しく短命であることがわかります。


・・・というのは、減数分裂を省略して無性的なクローン成長で維持されている系統(種、変種など)には、必ず近縁の有性生殖の系統が認められます。


そして、それが比較的最近にその有性生殖の系統から分かれたことを示すことができるからです。


サクラソウも、クローンの寿命がかなり長いです。


しかし、その個体、群の長期的な維持や遺伝的な変異性の確保のためには、やはり有性生殖が健全に行われなくてはなりません。


それは、花が咲いて実を結び、種子が生産されることによってはじめて可能になります。


個体の寿命はどれほど長くても必ず限りがあります。


種子による繁殖がうまくいかなければ、その系統はいずれ絶えてしまうのです。

クローン成長によって無性的に生き続ける一般に、クローン成長のことを栄養繁殖とよぶこともあります。


性を介した生殖をしなくても、植物はしばしの間、同じ遺伝子コピーをもちながら、生理的には独立した株を増やし続けることができるからです。


例えば、淡い紫色の花を咲かせ、庭にも植えられるシャガは3倍体の植物なので、ふつうは種子による繁殖はしません。


そのかわりクローン成長はきわめて旺盛です。


庭に1株だけ植えておいたものが、少し油断をしているうちに庭いっぱいに広がってしまったということにもなりかねないのです。


日本では、低地から富士山の高山砂漠まで、どこでもごくふつうにみられるおなじみのイタドリが、最近英国に帰化しました。


河原などにはびこって、大いに厄介ものとされているようです。


イタドリは、雌と雄が別の個体に分かれている雌雄異株の植物ですが、英国には雌株だけが入っています。


ですから、種子はできません。


そのかわりに、成長したクローンの地下茎がちぎれて、その断片が新しい株をつくることによって分布を広げています。


そして、今では英国における最も侵入性の高い植物の1つとみなされ、法律でその駆除が義務づけられるまでになっています。


これらクローン成長だけで分布を広げる植物は、種子をつくることに物質やエネルギーを使わなくていいでしょう。


ですから、きわめて旺盛にクローン成長を行うのです。


一見非常に効率的で、いいことづくめに感じられるこれらの種子繁殖をしない植物ですが、これらは果たして真の成功者といえるのでしょうか?


サクラソウの生育適地は、落葉樹林のなかでも春には確実に明るい場所のようです。


すでに述べたことですが、北海道のカシワの木は、春に葉を開くのが他の落葉樹に比べて目立って遅いのです。


春、葉を開いた途端に急に冷たい風が吹いて、せっかく開いた新しい葉が凍ってしまうというようなことを避けるため、遅霜の心配のない春たけなわの頃に葉を開く性質が進化したのでしょう。


そんなカシワの林は、主な活動時期を春にもつ小さな野草にとって、特に都合のよい生育場所です。


植物の活動に適した時期になっても上の木の葉が開かないので、明るく暖かい日だまりで十分に光合成をすることができるからです。


また、明るいうちに花を咲かせることは、昆虫に花粉を運んでもらうにも都合がいいでしょう。


サクラソウは、主な成長の時期や開花の時期が春なので春植物といってもよいですが、春が過ぎても積極的に葉を枯らし、葉の物質を地下部に回収するというようなことはありません。


適度に明るく湿った場所ならば夏まで、さらに秋まで葉をつけていることもあります。

ミズナラ林やカシワ林などの落葉樹の林では、季節による光の条件の変化が大きいです。


枝葉が茂る夏と葉を落としてしまう冬とでは、林のなかの光の量に大きな差があることは容易に想像がつきます。


もし、ある季節、林のなかのある地点において、植物が光合成に利用できる光がどのくらいあるかを知ろうと思ったら、ただその場所から空を見上げてみればいいでしょう。


枝や葉の影の間にのぞく空の面積、が大きければ大きいほど、そこは光が十分に注ぎ、光合成に都合のよい場所であるということができます。


下から見上げたときに葉や枝の隙間から空がたくさんみえるということは、そこには空全体から降り注ぐ散乱光がたくさん届くはずです。


また、太陽が枝葉の隙間から顔をのぞかせれば、直射日光が当たる可能性も大きいのです。


サクラソウが葉を開き花が咲き始める頃、まだ木々は葉を開いていないので、林のなかはかなり明るいです。


サクラソウが花を咲かせ続けているうちに樹木は葉を開き、林内は次第に暗くなっていきます。


サクラソウがよくみられる渓流沿いは、樹木がまばらなため、林のなかの他の場所に比べると春の遅い時期になってもやや明るいです。


同じ林のなかでも低木や他の草本の茂る場所では、春の半ばにすでに相当暗くなってしまいます。


そのような場所にはサクラソウはみられないのです。

My Link

コールセンター

EC&通販専門のコールセンター会社に、無料で複数の見積が取れる一括見積サイト「EC通販コールセンターナビ」。小コールや短期間でもOK!

ウォーターサーバー比較

ご家庭やオフィスにウォーターサーバーの導入を検討されている方へ、サーバー提供会社各社の比較情報をお届けします。

医院 開業

医師の求人・転職がご希望なら、業界トップクラスのリクルートドクターズキャリアへ。医師専門で転職支援歴30年。常時10,000件以上の医師募集求人をご用意、専任のキャリアアドバイザーがあなたに合った厳選求人をご紹介し、転職を徹底サポートします。

ハンガー

ハンガーの企画・製造・販売会社TAYAのサイトです。製造メーカーの株式会社タヤが付加価値をもった、オリジナルハンガーをご提案します。ご要望(デザイン・機能)をご連絡ください。国内生産で小ロット・短納期に対応いたします。